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血液型の話:赤血球型赤血球の多型を表現、規定しているのは抗原とよばれる物質です。そのため、赤血球抗原の多型が、狭義での血液型ということになります。抗原は、それに対応する抗体という物質と特異的に結合し、抗原抗体反応といわれる現象を引き起こします。赤血球型の抗原抗体反応では、血液型抗体(凝集素)の作用によって、対応する血液型抗原(凝集原)を有する赤血球が、抗体を仲立ちとして次々と結合し、肉眼で確認できる大きさの赤血球塊(凝集塊)を形成します(凝集反応という)。また、ある特定の血液型に関して抗原抗体反応を示す性質を型特異性とよび、この型特異性を示す抗原物質を血液型物質または型物質といいます。血液型は、1900年ランドシュタイナーらのABO式血液型の発見、27年にMN式血液型とP式血液型が発見、そして40年ランドシュタイナーとウィーナーによるRh式血液型因子の発見により、新生児溶血性疾患とよばれる病気の原因が、母―児間のRh式血液型因子の違いに起因することが実証され、臨床医学における血液型の重要性が認識されました。 血液型分類に用いる抗体(抗血清)には次のようなものがあります。 (1)生体内に自然状態で存在している自然発生抗体、たとえば正常なヒト血清中に規則的に常在する同種・規則抗体(ABO式)、まれに存在する同種・不規則抗体(ルイスLewis式)、ブタなどの動物血清中にまれに存在する異種・不規則抗体(P式)を利用します。 (2)異型輸血・血液型不適合妊娠により後天的に産生された免疫抗体(Rh式以降のほとんどの血液型)を用います。 (3)抗体産生を目的として人工的に動物(MN式、ルイスLewis式)、ヒト(Rh式)を免疫して作製します。 (4)レクチンLectinという主として植物の種子浸出液中に含有される植物性凝集素(ABO式、MN式)などを利用します。 |
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ABO式血液型ヒト血清中の抗Aおよび抗B抗体に対する凝集の有無によって、A、B、AB、O型の4型に分類する血液型です。遺伝様式はA、B、Oの3複対立遺伝子の支配を受け、遺伝子間の優劣関係はA=B>Oで、メンデルの法則に従います。ABO式血液型の基本的抗原はA、BおよびH抗原(H型物質)です。H抗原はすべての型に認められる共通抗原で、H抗原を土台にしてAやB抗原が合成されます。ABH型物質は赤血球膜だけではなく、毛髪、骨はもとより、全身の細胞に存在すます。また、分泌液(唾液(だえき)、精液、胃液など)では水溶性の型物質として存在し、その分泌量に基づいて分泌型と非分泌型に分類したのがSe式血液型です。分泌腺(せん)におけるABH型物質の分泌性とルイス式血液型との間には密接な関係があります。ルイス式血液型は、抗Leaと抗Leb抗体によって、Le(a+b+)型、Le(a+b-)型、Le(a-b+)型、Le(a-b-)型の4型に分類され、日本人(成人)の出現頻度は、順に0%、約22%、約68%、約10%で、Le(a+b-)型のヒトはすべて非分泌(se)型、Le(a-b+)型はすべて分泌(Se)型、Le(a-b-)型では大多数が分泌(Se)型です。赤血球膜存在性の型物質は糖脂質:glycolipidで、唾液などの水溶性型物質は糖タンパク質:glycoproteinです。そして糖部分(糖鎖)の末端に種類の異なった糖が位置することによって型特異性が発揮されます。これらのABH型物質、ないし類似物質は種々の動物、微生物などにも認められます。 MNSs式血液型抗M・抗N血清によってM、N、MN型に分類されるMN式血液型は、優劣のないM、N遺伝子に支配され、遺伝子型はMM、NN、MNである。MやN抗原は赤血球のみに存在します。M、N型物質は、シアル酸という物質を含んだ糖タンパク質と推定されています。1947年に発見されたSs式血液型は、抗S・抗s血清によって、S(SS)、s(ss)、Ss(Ss)型に分類されます。MN式とSs式との間には遺伝的関連性が認められ、現在ではMNSs式とよばれています。この結果、MS、Ms、NS、Nsという優劣のない4種の対立遺伝子が設定され、この組合せによって赤血球上にM、N、S、s抗原が発揮されます。M・N因子は臨床上のトラブルの生じにくい因子とされていますが、S・s因子はまれに免疫抗体産生などがみられるので、輸血の副作用、新生児溶血性疾患の原因として考慮する必要があります。P式血液型現在は表現型として、P1、P2、PR/1、PK/2、p型の五つに区分されます。日本人の出現頻度はP1型約35%、P2型約65%で、ごくまれに輸血副作用などの原因となります。日本で発見されたQ式血液型は、旧P式(P型とp型に区分)と同一のものとされています。Rh式血液型Rh式血液型1940年、ランドシュタイナーとウィーナーは、アカゲザルの血球で、ウサギ、モルモットを免疫して得た抗体によって、ヒト赤血球が2群に区別できることを発見し、凝集される血球をRh(+(プラス))型、凝集されない血球をRh(-(マイナス))型と名づけました。Rh式血液型は、基本的には優劣のない8種類の遺伝子群、cDe(R0),CDe(R1),cDE(R2),CDE(Rz),cde(r),Cde(r′),cdE(r″),CdE(ry)に支配され、このなかの2種が組み合わさって個体のRh式血液型(因子型)が決定されます。各遺伝子は同名の抗原を支配するため、Rh式血液型の基本抗原はC(rh′)、c(hr′)、D(Rh0)、d(hr)、E(rh″)、e(hr″)の6種となりますが、d抗原の存在は、抗d抗体の確実なものが発見されていないために未確認のままです。したがって、現在検査に用いられる基本抗体は、抗C、抗c、抗D、抗E、抗eの5種です。抗D抗体に対する反応によって、D抗原をもつD型〈Rh(+)〉と、もたないdd型〈Rh(-)〉に分類される。D抗原は他のRh抗原と比較すると、その抗原性はきわめて強く、D抗原をもたないdd型のヒトにD型血液を輸血した場合、抗D抗体が産生される可能性がきわめて高くなります。D‐d因子型不適合による新生児溶血性疾患も多く、そのため、Rh因子のなかでも、D‐d因子が臨床的にもっとも重要視されています。その他の血液型ルゼランLutheran式のLua抗原、ケルKell式のK抗原などは日本人には認めにくい形質です。ダフィーDuffy式の抗原のうち、Fya陰性の形質も日本人に少なく、Fy(a+b-)型約81%、Fy(a+b+)型約18%、Fy(a-b+)型約1%となります。キッドKidd式では、日本人の場合、Jk(a+b-)型約22%、Jk(a+b+)型約51%、Jk(a-b+)型約27%と頻度に極端な偏りがないので、親子鑑定などにしばしば用いられあす。ディエゴーDiego式のDia抗原は白人にはなく、モンゴル人種に特異的な抗原で、Di(a+)型の日本人は2~10%くらいです。Xg式はX染色体上にXga遺伝子の座があり、Xg(a+)型の頻度は、日本人の場合、男性で約70%、女性で約90%となり、性差がみられます。 |
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