腎臓の病気の種類 |
各疾患の説明 |
慢性腎臓病(CKD) |
腎臓の働きが慢性的に且つ、徐々に低下していく病気を慢性腎臓病(CKD)といいます。あまり耳慣れない病気ですが、実際は慢性腎臓病(CKD)の患者は1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)と考えられています。 原因は、今盛んに叫ばれている生活習慣病(高血圧、糖尿病など)や、メタボリックシンドロームとの関連も深く、誰もがかかる可能性のある病気です。 |
急性腎不全 |
数時間~数日という短期間の急激な腎機能の低下により、高窒素血症・高電解質異常、アシドーシスが急速に進行した状態を言います。
急性腎不全の原因には、腎前性、腎性、腎後性に分けられます。
①腎前性: ショック、大出血、心不全、脱水などにより全身的循環障害を原因として、腎臓内の虚血状態により糸球体濾過値が著しく低下するために起こります。
②腎性:腎臓内(糸球体、尿細管、間質、血管など)に何らかの病変が生じ、腎機能が急激に低下するために起こります。
③腎後性:結石、子宮ガン、前立腺肥大などによる尿路閉塞により起こります。 |
慢性腎不全 |
慢性腎不全とは、様々な腎疾患が不可逆的に進行することにより、ネフロンが減少し、その結果恒常性の維持機能が低下した状態を言います。
慢性腎不全の原因は、様々な腎疾患の進行によるものですが、慢性糸球体腎炎によるものがもっとも多く見られます。そのほかにも、糖尿病性腎症、腎硬化症、膿胞腎、慢性腎盂腎炎から進行します。 |
急性糸球体腎炎
(急性腎炎) |
多くは、細菌、ウイルスの感染による上気道炎や上咽頭炎、扁桃炎がおこった1~3週間後に突然、腎臓に炎症がおこる病気です。
A群β溶連菌という細菌による扁桃炎や上咽頭炎にひきつづいておこることがもっとも多く、このような場合は、溶連菌感染後急性糸球体腎炎と呼びます。一般的に、3歳から10歳までの子どもで、晩秋から寒冷期に多発しますが、近年は抗生物質の使用によって、発症頻度は減少してきています。
腎炎をおこす原因としては、細菌の菌体成分や、菌体壁などの抗原に対して生じた抗体が血液中で免疫複合体を形成し、これが腎臓の糸球体に沈着するため、と考えられています。 |
慢性糸球体腎炎
(慢性腎炎) |
慢性糸球体腎炎とは、糸球体に慢性的な変化(もとにもどらない組織変化)があるものをいいます。
慢性糸球体腎炎は、糸球体に組織学的変化があるため、尿に赤血球やたんぱくがもれ出てきます。
腎生検で組織を確認しなくても、血尿などの尿の異常が1年以上続いたときは、慢性糸球体腎炎と考えることもありますが、いずれにしても治りにくい腎炎の総称といえます。 |
糖尿病性腎症 |
糖尿病性腎症とは、糖尿病の罹患期間(病気を患ってからの期間)が10年以上で尚且つ、血糖のコントロールが悪い患者に好発する疾患です。 原因は、高血糖による最小血管症の結果として腎臓の糸球体や輸出入細動脈に硬化性の病変、尿細管・間質の繊維化の結果、腎機能低下を招いています。透析の導入原因の1位でもあります。
糖尿病性腎症の原因は、糖尿病患者においての血糖コントロール不良が一番の原因となります。 |
ネフローゼ症候群 |
ネフローゼ症候群は、高度の蛋白尿により低蛋白血症を来す腎臓疾患群の総称です。低蛋白血症、高度な蛋白尿、浮腫(眼瞼や下肢)を主な症状とし、病理学的には糸球体基底膜の透過の亢進を一次的異常として認める。時に高脂血症(高コレステロール血症)も合併します。ネフローゼ症候群は元来病理学的な概念で、腎炎と異なり、炎症性の変化(炎症細胞浸潤など)がみられないものの総称として提唱されました。若年層(特に幼少期では男子)に多く発症しますが、30代の男女も発症例も多数報告されています。 |
IgA腎症 |
IgA腎症は、主に免疫グロブリンの一種であるIgAが免疫複合体を形成し、腎糸球体メサンギウム領域に沈着することを特徴とする疾患です。 1968年にフランスのベルジェらが提唱したことによりベルジェ病とも言われています。日本では患者数も多く、慢性糸球体腎炎の約40%がIgA腎症によるものであることがわかっています。発病年齢は子供から大人まで幅広いですが、10代後半から30代前半が多いことが知られています。また、女性よりも男性に多い病気です。 |
腎盂腎炎 |
通常、尿と尿路は無菌状態に保たれています。尿路は通常は少々細菌などの微生物が進入しても、新たな尿で洗い流されるため、微生物が繁殖することはありません。しかし、大量の微生物が進入したり、洗い流す尿が足りなかったり、体が疲れて免疫低下を引き起こしている等といった原因があると、尿路に感染(尿路感染症)を起こすことがあります。
尿路感染症のほとんどは、尿道口から尿道→膀胱→尿管→腎盂と尿の流れと逆(上行性)に感染が進みます。腎盂に感染が及んだ場合、感染による炎症は腎実質にも波及するので、腎盂腎炎という病名となります。 |
膀胱炎 |
膀胱炎は、身体の構造の違いから男性よりも女性の方がかかりやすい病気です。
一度発症すると繰り返すことが多いので、膀胱炎にかかったことがある方は再発しないように、かかったことのない方は予防することが大切です。 |
尿管結石 |
尿路結石(にょうろけっせき)は、尿路系に沈着する結晶の石、もしくは、その石が詰まってしまう症状をいいます。
尿管結石の原因
①尿路の通過障害
②尿路感染
③水の質と摂取量不足 |
腎結石 |
腎盂または腎杯にある尿路結石をいい、腎臓結石ともいいます。尿路結石は、腎臓から尿中に排泄される物質が析出してできたもので、普通、腎杯の乳頭部で最初に形成される。これがそのまま腎杯や腎盂内にとどまっている場合が腎結石、尿管、膀胱、尿道へと下方に落ちてきた場合、それぞれ尿管結石、膀胱結石、尿道結石となります。 |
腎臓癌 |
腎癌は、男性に多く発症し、50~60代が好発年齢といわれています。また腎不全のために人工透析を長期に渡って受けている患者は腎臓癌の発症リスクが上がることが知られています。比較的リンパ節に転移しやすい。喫煙者はもちろん塗装工作業員・金属加工業作業員・化学物質を多く取り扱う人にも多い。これは、腎臓が体内の老廃物や有毒物質を尿と共に排出する働きがある為に最終的にそれら影響を体内でもっとも受けやすい為とされる。 |
腎血管性高血圧 |
腎血流が何らかの原因で低下した結果、全身が低血圧状態にあると勘違いした腎臓の傍糸球体装置が血圧上昇ホルモンであるレニンを分泌して、レニン-アンジオテンシン系が亢進して高血圧になる。 |
腎梗塞 |
腎臓に入る動脈(腎動脈)や、その枝分かれした血管に血流の障害がおこり、それらの動脈から栄養や酸素を得ていた組織が壊死をおこす病気です。 そのため、つまった血管に養われていた組織(ふつうはくさび形の領域)が壊死します。それが古くなると、吸収されて線維成分におきかわり、硬くひきつれたようになります。
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