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慢性腎臓病(CKD)の症状・検査・治療について

慢性腎臓病(CKD)の症状・検査・治療について

腎臓の働きが慢性的に且つ、徐々に低下していく病気を慢性腎臓病(CKD)といいます。あまり耳慣れない病気ですが、実際は慢性腎臓病(CKD)の患者は1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)と考えられています。 
 原因は、今盛んに叫ばれている生活習慣病高血圧糖尿病など)や、メタボリックシンドロームとの関連も深く、誰もがかかる可能性のある病気です。


慢性腎臓病(CKD)の症状

1、慢性腎臓病(CKD)の初期症状

慢性腎臓病(CKD)の初期症状はほとんどありません。これが、慢性腎臓病(CKD)を深刻な病気にしている原因でもあります。更に、腎臓は一度悪くなってしまった機能は自然に回復することはなく、放置するとどんどん進行し取り返しのつかないことになる恐れがあります。


2、慢性腎臓病(CKD)が進行すると

慢性腎臓病(CKD)が進行すると、夜間尿、むくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が現れてきます
夜間トイレに何回も...。 足や指のむくみ 立ちくらみが酷い 疲れやすく、常にだるい 少し動くだけで
息切れがする
これらの自覚症状が出てきた時は、慢性腎臓病(CKD)がかなり進行している場合が多く、体調の変化に気をつけているだけでは早期発見は難しいといえます。


3、慢性腎臓病(CKD)が更に進行すると。

慢性腎臓病(CKD)を患っていると、脳卒中心筋梗塞など心血管系の病気リスクが高くなることがわかって来ています。また、慢性腎臓病(CKD)が進行して腎不全になると最終的には透析療法が必要になります。
 腎臓は病気がある程度まで進行してしまうと、もとの正常な状態には回復することはありませんが、生活習慣の改善や薬物治療により病気の進行を遅らせることができます。
定期的に健康診断を受けることで、慢性腎臓病の早期発見と予防に努めることがとても重要です。


慢性腎臓病(CKD)の原因

メタボリックシンドロームが慢性腎臓病の発症危険因子!

生活習慣病の危険因子としても知られていますが、慢性腎臓病(CKD)の危険因子でもあるのです。いわば、生活習慣病の一つと言えるでしょう。しかし、生活習慣病と慢性腎臓病(CKD)の違いは、生活習慣病が発症の引き金となる点です。
*メタボリックシンドロームについてはこちらを  ⇒  メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームが腎臓に与える影響

内臓脂肪型肥満 内臓脂肪型肥満になると、糖尿病性腎症の指標であるアルブミン尿(たんぱく尿の一種)が出やすくなります。肥満の人は糖尿病や高血圧を合併していることも多く、体重を適正に管理することが重要となります。
高血糖 高血糖の状態が続く糖尿病は、透析療法にいたる原因となる病気の第1位です。糖尿病になると腎臓の尿をつくる働きが低下し、体内に余分な老廃物や水分がたまります。そのことがさらに腎臓に負担をかけることになります。
 
 高血圧 高血圧になると腎臓の働きが悪くなり、腎臓の働きが悪くなると高血圧が悪化するという悪循環の関係にあります。そのため血圧のコントロールはきわめて重要です。
脂質異常 脂質異常症は、慢性腎臓病(CKD)の発症と進行の危険因子です。また、動脈硬化など心血管病の危険因子でもあるので、コレステロール値を目標値まで下げることが重要です。


慢性腎臓病(CKD)の検査

健康診断の結果、しっかり確認していますか?
一般的な健康診断で行われる検査も、慢性腎臓病(CKD)の早期発見の重要な手がかりになります。
また、腎臓の状態をくわしく調べ、効果的な治療方針を立てるためにも重要です。
腎臓の機能を調べるためには、主に以下のような検査が行われます。


主な検査の種類と概要
早期発見 尿検査 尿にたんぱく質や血液が漏れ出ていないかを検査します。ただし、発熱や激しい運動などでもこれらが出ることはあるので、1度検出されたら、必ず2~3度繰り返して検査し、確認する必要があります。

会社の健康診断などの健康診断で一般的に行われる検査ですが、 専用の測定キットを使えば、家庭でも行うことができます。
進行度合 血液検査 定期健診などで一般的に行われる検査です。
さまざまな値を調べて腎臓の働きをチェックしますが、そのなかでも大切なのが血清クレアチニン値です。
この血清クレアチニン値がわかると、腎臓の働きを数値的に確認することができます。
精密検査 画像診断 超音波検査や腹部CTなどで、腎臓の形、大きさや合併症(腫瘍や結石など)の有無を調べます。
腎生検 腎臓の組織を顕微鏡で検査して、正確な診断をします。


慢性腎臓病(CKD)の治療

低下した腎機能は戻りません!

 一度機能が低下した腎臓は現在の医学ではもとに戻ることはありません。慢性腎臓病(CKD)においては早期発見・早期治療によって、腎臓の機能を低下させないことがとても重要な治療となります。
 慢性腎臓病(CKD)の治療は、生活習慣の改善、食事療法や薬物治療による血圧管理、貧血改善、脂質代謝管理、糖代謝管理、塩分摂取制限などの管理を総合的におこなうこととなります。そして重要となることは病気の進行状態を知るために、定期健診が重要な役割を担います。

「薬物治療」

慢性腎臓病(CKD)の治療では、薬を使って腎臓の機能を補うことで、進行を遅らせたり、腎臓の機能が低下することで起きる症状を改善したりします。

血圧を調整する
血圧降下剤 慢性腎臓病(CKD)を伴う高血圧には、腎臓を保護する作用がある降圧薬を使います。
主に、RA系阻害薬(ACE阻害剤、ARB)やカルシウム拮抗薬が使われます。
利尿剤 尿の量を増やして、体内の余分な水分や塩分(ナトリウム)の排出を促すことで、血圧を下げたり、むくみをとります。
老廃物を体外へ出す働きを助ける
経口吸着炭素製剤 腎臓の機能が低下したことによる、尿毒症を予防します。(血液中の老廃物が増加すると尿毒症を引き起こし命にかかわります。)
腸の中で、尿毒症の原因となる毒素を吸着し、体内に吸収させることなく、便とともに排泄させる薬を使って、尿毒症の症状を改善します。
血液を作る働きを助ける
エリスロポエチン製剤 慢性腎臓病(CKD)では貧血が好発的に発症します。血液(赤血球)は、腎臓から出るホルモン(エリスロポエチン)の刺激を受けてつくられますが、腎臓の働きが悪くなるとこのホルモンが出てこなくなってしまうため、血液が十分につくられず貧血になります。
貧血は、ホルモン(エリスロポエチン)を注射することで改善します。
貧血を治療することによって、腎臓の働きの低下を抑制することができ、貧血は心不全を悪化させる原因にもなりますので、 慢性腎臓病(CKD)において、貧血治療は重要です。
体液量・ミネラルバランスを調整する働きを助ける
カリウム吸着薬 腎臓の機能が低下すると体内のカリウムが排出されず体内にたまってしまいます。カリウムは体にとって不可欠のものですが、体内にたくさんありすぎると手足のしびれや不整脈などの原因になります。
そのため、腸の中でカリウムとくっつきカリウムを体外へ排出する薬を使います。
リン吸着薬 腎臓の機能が低下し、体内からリンを排出できなくなると高リン血症になり、骨がもろくなったり、心臓や血管に悪影響を及ぼします。そのため、食べ物の中のリンを腸の中で吸着して、体に吸収させることなく体外へ便とともに排泄する薬を使って体内のリンを減らします。
骨を作る機能を助ける
活性型ビタミンD製剤 腎臓の働きが低下すると、活性型ビタミンDが低下し、カルシウムが吸収されなくなって骨が弱くなるなどの症状が出てきます。そのため薬で活性化したビタミンDを補い、骨がもろくなるのを防ぎます。
骨の発育には複数の臓器が関わっていますが、その中でも腎臓は、カルシウムを体内に吸収させるのに必要な活性型ビタミンDをつくっています。


慢性腎臓病(CKD)の食事療法

慢性腎臓病(CKD)において毎日の食事で注意すべきことは、病気の進行度によって違います。
かかりつけの病院に相談して医師や栄養士のアドバイスを受け、進行度にあった食事をこころがけましょう。

慢性腎臓病(CKD)のステージ(病期)分類
病期・ステージ 腎機能 腎障害など ステージの特徴・対策
CKD
正常・予備軍
正常
(GFR≧90)
高血圧、糖尿病、メタボ、肥満、喫煙、腎臓病の家族歴などがある人はCKDのリスクが高まります。また、CKDになった時に、進行の度合いが早くなります。
年に1回程度、CKDのスクリーニング検査(検尿と採血)原因疾患の治療や生活習慣の改善に努める必要があります。
CKD
ステージ1
正常
(GFR≧90)
たんぱく尿が持続している状態です。 生活習慣の是正を行いましょう。医師にCKDの原因を調べてもらうことが重要です。医師の指示に従って、原疾患の治療に努めるようにしましょう。
CKD
ステージ2
軽度低下
(90>GFR≧60)
CKD
ステージ3
中等度低下
(60>GFR≧30)
尿異常の有無は問いません。たんぱく尿のある人は機能の低下速度が速くなる危険性があります。 引き続き生活習慣の是正に努めることが大切です。原因疾患の治療に加えて、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)の予防や、腎機能低下によって生じる様々な異常(貧血、ミネラル異常、骨の異常など)のチェックと治療を行うことが必要になります。またステージ4では透析療法や移植についての教育を受け、早めに将来のライフスタイルを考えておくことが重要です。
CKD
ステージ4
高度低下
(30>GFR≧15)
CKD
ステージ5

末期腎不全
(15>GFR)

透析に導入する直前の状態です。 透析直前の体の状態は大変不安定です。医師と相談しながら、体調には十分注意しましょう。スムーズに透析療法に移行することがポイントです。専門医と相談しながら、指示に従いましょう。
*自身の検査結果から、ステージを知りたい方は、eGFR(糸球体濾過量)早見表
ご覧の上参照下さい。



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