血液の病気の種類 |
各疾患の説明 |
赤
血
球
系
疾
患
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鉄欠乏性貧血 |
生体内でヘモグロビンの合成に不可欠な鉄が欠乏し、ヘモグロビンがの合成が十分に行われないために生する貧血です。日常最も多く見られる貧血です。私達の体は鉄を作り出すことは出来ませんので食物から補給することが必要です。成人男性で毎日約1mgの鉄が失われます。一方、通常摂取された鉄はその約10%が吸収されますので、1日約10mgの鉄を摂取しなければなりません。 |
悪性貧血 |
悪性貧血胃粘膜が萎縮することでビタミンB12の吸収に必要な内因子が低下するためにDNAの合成が障害されることで起こります。
内因子の欠乏は他にも胃全摘後などにも起こりますが、悪性貧血と呼ばれるのは萎縮性胃炎によるものだけで、「悪性」という名称の由来はビタミンB12が発見されるまでは治療法がなく致死的な疾患と考えられていたためつけられました。 |
再生不良性貧血 |
再生不良性貧血とは、骨髄において血球産生能が低下しているため、赤血球、白血球、血小板系統のすべてが低下する汎血球減少症を指します。日本では年間に10万人あたり15人程度発生する疾患で、男女差はありませんが中高年に多い傾向があります。原因が不明な原発性再生不良性貧血が約80%で、放射線、抗ガン剤、鎮痛薬、抗生物質などによる2次性再生不良性貧血が残りを占めます。 |
鉄芽球性貧血 |
鉄芽球性貧血とは鉄が有っても使うことが出来ずに起こる貧血です。赤芽球内のミトコンドリアにおいて、鉄を利用してヘモグロビンを合成をする過程の異常によるものです。
先天的なものと後天的なものがあります。
後天的な鉄芽球性貧血では、原発性のもの(骨髄異形成症候群など)と続発性のものがあります。続発性鉄芽球性貧血の原因として、白血病、関節リウマチなどの基礎疾患によるものとクロラムフェニコール、鉛中毒、慢性アルコール中毒などの薬物性、中毒性のものがあります。 |
溶血性貧血 |
赤血球が破壊されて起こる貧血をいいます。赤血球が破壊されることを溶血といい、この疾患はその赤血球の破壊により起こることから溶血性貧血と呼ばれています。
溶血性貧血の原因として、細菌感染、毒素、血漿浸透圧の極度な低下などがあげられます。また、アレルギーによるものもあります。赤血球を異物と認識してしまい、抗体反応によって赤血球が破壊されます。赤血球は通常、鉄と結合しているため赤色を呈していますが、溶血すると黄色色素と結合し黄疸が発症します。 |
赤血球増多症 |
赤血球の増加に伴い、血流の低下により、頭痛や目まい、視力障害、耳鳴り、けん怠感、知覚異常、呼吸困難などが見られる様になります。
また、脳、心臓、肺、腹部、下肢の動脈、静脈、微小血管などにおいて血栓症ができやすくなり、皮膚や粘膜の出血傾向がおきることがあります。 |
白
血
球
系
疾
患
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悪性リンパ腫 |
リンパ節腫脹から始まります。痛みがないため、気がついた時にはかなり大きくなり、また複数部位のリンパ節が同時に腫大してくることもあります。
なお、日本人の場合、リンパ節腫脹以外で起こるリンパ腫(節外性リンパ腫)の形で発症するものが40%ほど存在します。リンパ節以外の全身ほぼすべての臓器から発生する可能性がありますが、日本人では胃から起こる症例が多いといわれています。 |
白血病 |
白血病は、「血液のがん」ともいわれ、遺伝子変異を起こした造血細胞(白血病細胞)が骨髄で自律的に増殖して正常な造血を阻害し、多くは骨髄のみにとどまらず血液中にも白血病細胞があふれ出てくる血液疾患をいいます。白血病細胞が造血の場である骨髄を占拠するために造血が阻害されて正常な血液細胞が減るため感染症や貧血、出血症状などの症状が出やすくなります。また、骨髄から血液中にあふれ出た白血病細胞がさまざまな臓器に浸潤(侵入)して障害することもあります。治療は抗がん剤を中心とした化学療法と輸血や感染症対策などの支持療法に加え、難治例では骨髄移植や臍帯血移植などの造血幹細胞移植治療も行われます。 |
凝
固
因
子
系
疾
患
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血小板減少性紫斑病 |
血小板減少性紫斑病、自己抗体で感作された血小板が、脾臓・肝臓などで破壊されて血小板減少症をきたす疾患です。血小板破壊の亢進により、骨髄での血小板産生は盛んになっています。しかし、骨髄中で幼弱な血小板しか生産されず、奇形的な血小板の場合もあります。
原因として、麻疹、風疹、水痘ウイルス感染をあげることができます。ウイルスと抗ウイルス抗体が免疫複合体を形成し、感作血小板が生じ、これが脾臓で破壊されることで発症するものと考えられています。 |
播種性
血管内凝固症候群 |
全身の血管において、持続的かつ著しい凝固因子の活性により微小血栓が多発します。微小血栓の進行により臓器内の循環障害により機能障害を引き起こすとともに、凝固因子である血小板が尽きてしまいます。その結果、血小板の不足及び栓溶活性化(血栓を溶かそうとする生体の反応)の過剰が起こり、出血症状が出現します。 |
血友病 |
血友病は、血液凝固因子の欠損あるいは活性因子低下に拠る遺伝性血液凝固異常症です。
性染色体であるX染色体上の血液凝固因子の第VIII因子、第IX因子をコードする遺伝子に変異が入ることによって引き起こされる物です。伴性遺伝、劣性遺伝子で、女性はX染色体が二本あるため、もう一方のX染色体に異常がなければ機能が補完されるため、発症する事はありません。そのため血友病患者の約99%は男性で、女性は1%以下です。 |
そ
の
他
の
疾
患
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敗血症 |
敗血症は、細菌によって引き起こされた全身性炎症反応症候群をいいます。細菌感染が全身に波及したもので非常に重篤な状態で、無治療ではショック、播種性血管内凝固症候群DIC、多臓器不全などにより死に至る疾患です。もともとの体力低下によるものが多いため、治療成績も決して良好とはいえません。
傷口などから細菌が血液中に侵入しただけの状態は菌血症と呼ばれ区別されます。 敗血症の定義は、血液中からの菌の検出が必須ではなく、SIRS(全身炎症反応症候群つまり高サイトカイン血症の状態を言います。 |
アミロイドーシス |
アミロイドーシスとはアミロイドと呼ばれる蛋白が全身の臓器の細胞外に沈着する疾患で、特定疾患(難病)に指定されています。
関節リウマチなどの慢性炎症性疾患や、多発性骨髄腫など。そのほかの原因が明らかでないものを原発性アミロイドーシスといいます。
日本では特定疾患(難病)に指定されている。 |
レイノー病 |
レイノー現象とは、手や足の指先の小さな動脈の血流不足が発作的に発生し、「冷感」や「皮膚色の変化」が現れることを指します。中でも、基礎疾患が不明である場合を「レイノー病」と呼びます。40歳以前の若年女子に多発する傾向があります。このレイノー現象だけの場合は、緊急処置を必要とすることはありません。 |
アナフィラクトイド
紫斑病 |
アレルギー性紫斑病(別名:アナフィラクトイド紫斑病)とは、アレルギー性機序により血管が障害を受け、四肢末梢の紫斑を主としたさまざまな症状を呈する疾患です。
免疫応答の異常が強く推察されています。特にIgA抗体の高値やIgA免疫複合体の検出などが報告されており、発症にIgAの免疫複合体が関与していることが考えられています。
詳細な原因は不明。しかし、種々のウイルス感染症や細菌感染症に続発することが多いことがわかっています。特に、A群β溶血性連鎖球菌(GAS)感染症に続発するものはよく知られています。 |