脳の病気の種類 |
各疾患の説明 |
くも膜下出血 |
くも膜下出血は脳卒中の約10%を占めると言われている脳血管疾患の一つです。極めて致命率の高い疾患であり突然に命をおびやかす、極めて怖い病気です。
くも膜下出血の原因として、最も頻度が高く、よく知られているのが脳動脈瘤の破裂です。脳動脈瘤は約2~3%の人が持っているとされ、その破裂率は年間に0.7~2%とされています。年間に10万人中10~20人がくも膜下出血を発症するといわれています。 |
脳梗塞 |
脳梗塞とは、脳の血管が詰まったり何らかの原因で脳の血のめぐりが正常の5分の1から10分の1に低下し、脳組織が酸素欠乏や栄養不足に陥り、その部位の脳組織が壊死(えし)(梗塞)してしまったものをいいます。
脳梗塞は、脳血栓症と脳塞栓症に分けられていました。しかし、近年では予防的な立場から、そして脳梗塞が起きた直後の治療の面からも、脳梗塞をアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞の3つに分類することが多くなりました。
|
脳腫瘍 |
脳腫瘍とは、頭蓋内に発生する(1)原発性および(2)転移性の新生物の総称で、年間発生頻度は十万人に十人程度です。
(1)原発性脳腫瘍は、さらに発生母地と腫瘍を構成する細胞の特徴により病理組織学的に分類されます。
一つは発生による分類、後一つは、悪性度による分類で、予後に関係するもので、治療可能から治療不能(一年前後で腫瘍死)までI - IVに大雑把に分けたものです。 |
アルツハイマー |
認知症は、記憶、言語、思考、判断、計算などの認知機能が、脳の障害により徐々に低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態です。アルツハイマー病は、脳を構成する神経細胞にアミロイドタンパクという異常な物質がたまり、正常な働きが失われて認知症となる病気です。原因はまだわかっていませんが、遺伝性はほとんどありません。40歳頃から発症しますが、65歳以上で増加します。認知症の患者さんは65歳以上で8%程度と推定されていますが、このうちアルツハイマー病の割合は半分を占め、認知症のなかで最も多い病気で、年々アルツハイマー病が増加しています。 |
片頭痛 |
片頭痛は、軽度から激しい頭痛、体の知覚の変化、吐き気といった症状によって特徴付けられる神経学的症候群です。生理学的観点からも女性に特に多いとされています。
典型的な片頭痛の症状は片側性(頭の半分に影響を及ぼす)で、拍動を伴って4時間から72時間持続する。症状には吐き気、嘔吐、羞明(光に過敏になる)、音声恐怖(音に過敏になる)などがあります。およそ3分の1の人は「前兆」と呼ばれる、異常な視覚的、嗅覚的、あるいはその他の感覚の(片頭痛が間もなく始まることを示す)経験をするとされています。 |
日本脳炎 |
潜伏期は6~16日間とされ高熱を発し、痙攣、意識障害に陥る。発症してからの治療方法は対症療法のみ。致死率は20%程度ですが、半数以上は脳にダメージを受け麻痺などの重篤な後遺症が残る。豚、犬、馬、サギ類では日本脳炎ウイルスに対する感受性が高く、特に豚は増幅動物としての役割を演じている。鳥類、爬虫類にも感受性があります。 |
筋ジストロフィー |
筋線維の破壊・変性(筋壊死)と再生を繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患の総称である。発症年齢や遺伝形式、臨床的経過等から様々な病型に分類される。その内、最も頻度の高いのはデュシェンヌ型である。 |
髄膜炎 |
中枢神経系の感染症は早期発見、速やかな治療の開始が生命予後を左右するため医療にとって最も重要な疾患の一つです。代表的な疾患としては急性細菌性髄膜炎、ウイルス性髄膜炎、脳炎、局所性感染症である脳膿瘍や硬膜下膿瘍および感染性血栓性静脈炎が含まれます。いずれもそれまで健康であった人々に発熱や頭痛などの非特異的な前駆症状を引き起こし、最初は比較的良性の病態と考えられる。しかし、ウイルス性髄膜炎以外はやがて意識状態の変化、局所性神経症状または痙攣発作が出現します。 |
多発性硬化症 |
中枢性脱髄疾患の中では患者が最も多疾患です。北米、北欧、オーストラリア南部では人口10万人当たり30〜80人ほどの罹患率ですが、アジアやアフリカでは人口10万人当たり4人以下となっており、人種によって罹患率に大きな差があることが特徴です。全体としては高緯度のほうが罹患率は高く、日本国内でも北海道と九州では北海道のほうが高いのが特徴です。日本での有病率は増加してきており、10万人あたり8
- 9人、人口辺り約12,000人程度であることが2006年神経免疫班会議で報告されている。
罹患のピークは30歳頃であり、約80%が50歳までに発症する。また女性に多い。 |
パーキンソン病 |
脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候(錐体外路症状)を示す進行性の疾患です。神経変性疾患の一つであり、その中でもアルツハイマー病についで頻度の高い疾患と考えられています。日本では難病に指定されています。本疾患と似た症状を来たすものを、原因を問わず総称してパーキンソン症候群と呼ぶ。それゆえ本症はパーキンソン症候群の一つであるということもできます。 |