糖尿病性腎症の症状
症状の進行度合いから4期に分けることができます。
病期 |
臨床的特徴 |
病理的特徴 |
蛋白尿 |
糸球体濾過値 (GFR) |
びまん性病変 |
結節性病変 |
第一期 (腎症前期) |
正常 |
正常(時に高値) |
なし~軽度 |
なし |
第二期 (早期腎症) |
微量 |
正常(時に高値) |
軽度~中等度 |
ときにあり |
第三期A (顕性腎症 前期) |
持続性 |
ほぼ正常 |
中等度 |
多く存在 |
第三期B (顕性腎症 後期) |
持続性 |
低下 |
高度 |
多く存在 |
第四期 (腎不全期) |
持続性 |
顕著低下 |
荒廃糸球体 |
第五期 (透析期) |
透析療養中 |
尿毒症症状は以下の通り
①全身倦怠、易疲労感、 脱力感 |
②全身浮腫、低たんぱく血症、 体液異常 |
③高窒素血症、高リン血症 高カリウム血症 代謝性アシドーシス |
④悪心、嘔吐、口臭(アンモニア臭) 食欲不振、下痢、便秘 |
⑤等浸透圧尿、多尿 |
⑥高血圧、心不全 |
⑦神経障害、知覚麻痺、 知能低下 |
⑧貧血、出血傾向 |
⑨呼吸困難 |
⑩皮膚症状(掻痒感、色素沈着) 視力障害、骨代謝異常など |
糖尿病性腎症の治療
1、血糖のコントロール
基本的に血糖のコントロールを10年以上の長期間、正常に保つことができれば、改善の期待ができます。
2、高血圧のコントロール
異常な高血圧は、腎臓内の糸球体において糸球体高血圧及び過剰濾過をきたすため、腎組織障害を促進させてしまいます。 降圧の目標は、最高血圧:125mmHg 最小血圧:75mmHg
3、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
この2種の薬剤は元来、降圧剤として利用されていますが、糖尿病性腎症の患者においては、同病の進行を抑制する効果もあります。 その腎臓保護作用は、糸球体の血行動態の負担の軽減により糸球体最動脈が拡張しますが、腎臓に入る細動脈の圧よりも出る最動脈の圧力のほうが高くなるため、糸球体内の高血圧を抑制することができます。
糖尿病性腎症の食事療法
糖尿病性腎症の食事療法では、糖尿病と腎臓病の食事療法をいかに融合させるかがポイントとなります。まずは、糖尿病の食事療法の一般的原則を引き続き踏襲することになります。そして、そこに腎疾患の食事療法である ①腎機能低下の進行抑制
②体液、電解質バランスの維持 ③週末代謝産物の体内蓄積量の抑制 ④栄養状態の維持 といった治療、つまり、食塩制限、たんぱく質制限、カリウム制限を適宜追加していくことになります。
糖尿病性腎症の食事の目安
病期 |
エネルギー (kcal/kg)
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たんぱく質 (g/kg) |
食塩 (g) |
カリウム (g) |
第一期 (腎症前期) |
25~30 |
なし) |
なし |
なし |
第二期 (早期腎症) |
25~30 |
1.0~1.2 |
なし |
なし |
第三期A (顕性腎症 前期) |
25~30 |
0.8~1.0 |
7~8 |
なし |
第三期B (顕性腎症 後期) |
30~35 |
0.8~1.0 |
7~8 |
軽度制限 |
第四期 (腎不全期) |
30~35 |
0.6~0.8 |
5~7 |
1.5 |
第五期 (透析期) |
持続性透析患者と同じ |
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