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糖尿病とはどんな病気か糖尿病とは、血糖値が高い状態が長く続く病気です。血糖値が170mg/dl以上になると、尿にブドウ糖が血液中からあふれ出でてきます。このように尿の中にブドウ糖が漏れてくることがあるため、「糖尿病」と名づけられました。私たちが毎日の食事で摂取する栄養は腸から吸収されて血液中に入ります。また、摂りすぎた栄養分が一度、糖となり、これらは通常脂肪やそのほかの形となり蓄積されていきます。血糖は体のいろいろな細胞(脳、筋肉、肝臓など)に取り込まれて、エネルギー源として役に立ちます。通常では、血糖値は非常に狭い範囲に調節されています。その調は節膵(すい)臓のランゲルハンス島の中にあるβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンの作用によって行われています。このインスリンの分泌が低下したり、その働きが十分でないと血糖がスムーズに細胞内に入っていけなくなり、その結果血糖値は高くなります。 糖尿病の病型による分類1型糖尿病膵臓のβ細胞が破壊してしまうことで、膵臓からインスリンが出なくなってしまい発症する糖尿病です。原因は自己免疫性、ウイルス感染、特発性(原因不明)などがあります。2型糖尿病糖尿病の約9割がこの型に当てはまります。この型の糖尿病は親や兄弟に糖尿病にかかっている人がいることが多く、遺伝が強く関係しているといわれています。そのほかに過食、肥満、運動不足、ストレス、加齢などの複数の因子が絡み合うと、インスリン分泌が低下したり、インスリンの働きが低下して2型糖尿病を発症することになります。とくに肥満になると、インスリンの働きが低下して2型糖尿病になりやすくなります。中年以降の発症例の多くは2型糖尿病です。その他の特定の機序・疾患による糖尿病非常にまれな遺伝子の異常、膵臓の手術、肝臓病や甲状腺の病気に合併、ステロイドホルモンなどの薬などにより発症する糖尿病などがあります。妊娠糖尿病妊娠を契機に発症した糖尿病あるいは耐糖能異常(糖尿病にまではいかないが血糖がやや高めである状態)のことで、すでに糖尿病と診断されている患者さんが妊娠した状態とは区別されます。[1]のちに真の糖尿病に移行しやすい [2]胎児に巨大児などの合併症が起こりやすい [3]子どもが将来糖尿病になる可能性がある などの点で注意が必要です。 |
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糖尿病の症状糖尿病の症状は気づきにくく、初期ではまったく症状のない人がほとんどです。糖尿病が悪化し血糖値がかなり高くなってくると初めて、のどが渇く、トイレが近くなる、尿の匂いが気になるなどの症状が現れてきます。さらに、血糖値が極めて高い状態では、昏睡(こんすい)に陥ることもあります。自覚症状がないからと糖尿病を放置していると、高血糖が全身の様々な臓器に障害(合併症)をもたらします。代表的な合併症としては、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害は糖尿病の「三大合併症」と呼ばれています。網膜症が起こっても最初は自覚症状はありませんが、血糖値の悪化に伴い、失明に至ることがあります。腎症も最初は少量のタンパク尿が出るだけですが、徐々に体内に水分や毒素がたまるようになり、最終的には人工透析が必要となります。神経障害が起きると、しびれ、痛み、感覚鈍麻(どんま)、発汗異常、勃起障害などが起こります。さらに、その影響は心臓、脳、壊疽などの症状として現れてきます。 糖尿病の恐ろしさはこれらの合併症が全身に与える大きさです。 そのほかの、合併症について詳しく知りたい場合は、糖尿病の合併症についてをごらんください。 糖尿病の検査①随時血糖値が 200 mg/dl 以上②早朝空腹時血糖値が 126 mg/dl 以上 ③75g糖負荷試験で2時間後の血糖値が 200 mg/dl 以上 1回目の検査後、別の日に2回目の検査を行う。2回の検査でいずれも血糖値が基準値以上の場合、糖尿病と診断されます。 ④ただし、上記の一回目の検査の結果に加え、下記の項目が当てはまる場合は糖尿病型と診断します。 ● 糖尿病に特徴的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少など)がある ● HbA1c が 6.5% 以上である ● 確実な網膜症がみられる 糖尿病の治療糖尿病の治療には食事療法、運動療法、薬物療法があります。食事療法、運動療法が治療の基本ですが、これらだけで血糖値が下がらない場合には薬物療法を併用します。HbA1cを6.5%未満にすることで合併症の頻度が少なくなることが知られており、これが最低限達成すべき目標値となります(HbA1cが6.5%という状態は、空腹時血糖130mg/dl未満かつ食後2時間血糖値180mg/dl未満という状態に相当します)。①糖尿病の食事療法性別、年齢、肥満度、活動量、血糖値、合併症の有無などを考慮し、1日のエネルギー摂取量を決めます。決められたエネルギー摂取量内で炭水化物、タンパク質、脂質のバランスをとり、適量のビタミン、ミネラルも摂取して、いずれの栄養素も過不足ない状態にします。詳細は医師や栄養士の指示に従って下さい。標準的なエネルギー摂取量は以下のように求められます。<エネルギー摂取量=標準体重×身体活動量> 標準体重(kg)=身長(m2)×22 エネルギー摂取量(kcal)=標準体重(kg)×30(kcal/kg)(軽労働または中労働の方) エネルギー摂取量(kcal)=標準体重(kg)×25(kcal/kg)(肥満の方) なお、肥満とはBMI(body mass index)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が25以上の状態のことをいいます。 (詳しくは糖尿病の食事とそのポイントをご覧ください) ②糖尿病の運動療法歩行運動では1回15~30分間、1日2回(7,000歩/日以上程度)が適当とされています。糖尿病に対する運動の効果はインスリン感受性の改善にあります。血糖コントロールが極端に悪い、網膜症の状態が悪い、腎不全のある、心臓や肺などの機能に障害のある、など場合は運動の制限が必要となりますので、それらについても医師の指導の元実施が必要となります。③糖尿病の薬物療法薬物療法には経口血糖降下剤を使用する場合と、インスリンを使用する場合があります。以下に例をあげます。経口血糖降下薬1、SU薬(スルホニル尿素薬)主に膵臓のβ細胞に働きかけ、インスリンの分泌を促進する作用があります。主な副作用としては低血糖があります。 (例)グリミクロン錠(40mg) 1日20~120mg、1~3回分服 オイグルコン錠(1.25mg) 1日1.25~7.5mg、1~3回分服 ダオニール錠(2.5mg) 1日1.25~7.5mg、1~3回分服 アマリール錠(1mg) 1日1~6mg、1~3回分服 2、速効性インスリン分泌促進薬 SU薬よりもより速やかに膵臓のβ細胞からインスリン分泌を促進する働きがあり、食後の高血糖の改善に有効です。糖尿病患者の特徴である食後インスリン分泌の遅れを改善し、インスリンの総分泌量は変えません。効果は短時間で消失するため、毎食前に服用します。主な副作用としては低血糖があります。 (例)スターシス錠(30mg) 1日90~360mg、食前3回分服 ファスティック(30mg) 1日90~360mg、食前3回分服 グルファスト(10mg) 1日15~30mg、食前3回分服 3、α-グルコシダーゼ阻害薬 摂取した炭水化物が分解して作られたブドウ糖は、小腸から血液中に吸収されて血糖となります。この薬剤は小腸からのブドウ糖の吸収をゆっくりさせることで食後の高血糖を改善します。この薬も毎食前に服用します。主な副作用としては消化器症状があります。 (例)ベイスンOD錠(0.2mgまたは0.3mg) 1日0.6~0.9mg、食前3回分服 グルコバイ錠(50mg) 1日150~300mg、食前3回分服 セイブル(25mg) 1日150~225mg、食前3回分服 4、インスリン抵抗改善薬 主に肝臓や筋肉でのインスリンの感受性を改善することにより、血糖値が下がりやすい体質にします。ビグアナイド薬は主に肝臓に作用します。主な副作用としては消化器症状があります。チアゾリジン薬は肝臓と筋肉に作用します。主な副作用としては浮腫(ふしゅ)があり、心不全の方は服薬できません。 ・ビグアナイド薬 例:メルビン錠(250mg) 1日250~750mg、1~3回分服 ジベトスB錠(50mg) 1日50~150mg、1~3回分服 ・チアゾリジン薬 例:アクトス錠(15mgまたは30mg) 1日15~30mg、1回分服 インスリン自分の膵臓からのインスリンの分泌が十分でない場合には、外からインスリンを補充してあげる必要があります。日本ではインスリンは皮下に注射します。食後に分泌されるインスリン(追加分泌といいます)を補充するためには、速効型インスリンや超速効型インスリンを毎食前に使用します。また、人の膵臓からは食事と関係なく一定のスピードでインスリンが分泌されているのですが、このインスリン(基礎分泌といいます)を補充するためには、中間型インスリンや持効型インスリンを使用します。速効型インスリンや超速効型インスリンと、中間型インスリンがいろいろな比率で混ざっている混合型インスリンもあります。医師は患者さんそれぞれの病気の状態により、適切なインスリンの種類と量と注射の回数を決めていきます。 糖尿病の治療期間と予後血糖値をできるだけ正常値に近づけることで、高血糖によって起こる恐ろしい様々な合併症を防ぐことができます。そのためにも早期に糖尿病を発見し治療することが大切です。治療によって一時的に血糖値が下がったとしても、血糖値が上がりやすいという遺伝的な体質や、一度破壊されたβ細胞の機能は正常に戻るわけではありませんので、治療を中断するとすぐに血糖値は高くなってしまいます。そのためにも定期的に通院して、一生治療を続けながら生活をしていくことが大切です。糖尿病の予防糖尿病の予防は、肥満体の方は肥満の改善。また、暴飲暴食をしないように、そしてバランスの良い食事を摂る事です。また、定期的な運動も予防に大きな効果を示します。具体的な、予防方法については、糖尿病の原因とその治療についてをご覧ください。糖尿病の食事、運動がとても糖尿病の予防に効果があります。 糖尿病によい漢方薬
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