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肝細胞がんの症状・検査・治療について

肝細胞がんの症状・検査・治療について

 一般に言われるがんの原因としては喫煙や食品添加物などの化学物質、紫外線などの放射線、食事、ストレスなど様々な要因があげられます。しかし、肝臓がんの場合、75%以上は肝炎ウイルスが深く影響しています。
 肝臓がん患者多くは肝細胞がんであり全体の約70%の人はC型肝炎ウイルスに、約20%はB型肝炎ウイルスに感染しています。 肝炎ウィルスによる肝炎の症状がなくても、肝炎ウィルスのキャリア(発症はしてないけれど(+)反応が出ている感染者)も肝臓がんの危険性は高いと言えます。他にも慢性的な肝臓疾患を持っている人(慢性肝炎、肝硬変など)、母親や兄弟など家族が肝臓病を患っている人なども危険性があります。
 肝炎ウィルスに感染すると、発症により慢性肝炎になり、進行し肝硬変へと移行してきます。その後、約10・20年程で肝臓がんを発症する危険性がとても高くなります。このようにB型およびC型肝炎ウイルス感染者や慢性肝炎患者、その中でも肝硬変の人は、肝臓がんを発症する危険性が他の人よりも極めて高いと言えます。



肝細胞がんの症状

クモ状血管腫、出血傾向
   クモ状血管腫は手のひらが紅色になる症状です。また血が止まりにくくなる(出血傾向)もありますが、これらはがんにより肝細胞が破壊され、肝臓全体が萎縮してしまうことで肝機能が低下し血小板の数値極端に少なくなる事からおきます。打ち身や転倒など怪我にも注意して下さい。

食欲不振、全身倦怠感・疲れやすい
   肝機能が低下する事により、エネルギーの代謝や解毒作用といった本来の肝臓の働きが悪くなってくることによっておきます。こうした状態の時は良質なたんぱく質、ビタミン、ミネラルが多い 栄養バランスのとれた食事をとり、逆に脂肪分は減らすようにして下さい。その他、黄疸や腹水の有無によっても食事は変わってきますので、症状に応じて医師や栄養士に相談をしましょう。
 他にも糖質や脂質の取りすぎに注意し、アルコールを控えは控えて下さい。さらには肝臓に負担をかける化学薬品(保存料、添加物、農薬、防腐剤、医薬品等) の摂取もできるだけ控えるようにして下さい。

お腹のしこり・腹痛・腹部膨満、腹水
   大きくなった肝臓がんが右の上腹部(みぞおちあたり)にグリグリとしたしこりとして触れることがあります。 また肝がんが大きくなり破裂することにより出血してしまうと、腹痛を起こすこともあります。 肝機能低下がさらに進むことにより、血管やリンパ管から成分が漏れ出し腹水として腹部に溜まり、お腹も張ってきます。 そのため、腹水のコントロールも必要となってきますのでお腹の様子によく注意してください。

黄疸
   肝臓の代謝機能が低下することにより「ビリルビン」という物質が血液中の増え、手足や顔、白目の部分が黄色くなります。

吐血・下血
   肝臓が腫れたり肝臓がんによって血管を圧迫することで、肝臓へ送られるはずの血液が胃や食道などの他の静脈に大量に流れるようになると 静脈が大きくこぶのように膨らむ静脈瘤ができる場合があります。症状が改善されず、そういった静脈に血が大量に流れ続けることによって静脈瘤が破裂し、吐血や下血を起こし、命にかかわることがあります。

貧血
   肝臓がうまく働かず、体内に酸素などを運ぶ大事な赤血球が壊され貧血になることもあります。貧血になることでめまいや冷や汗、脱力感などの症状もあわられてきます。

便秘・下痢
   たまると、小腸や大腸に血液が流れ溜まってしまいます。それにより腸がむくんでしまうことで便秘や下痢の症状があらわれます。

意識障害
   肝臓がんが進行し、さらなる肝機能低下が進むことにより肝臓が体内の有害物質や老廃物を処理しきれなくなると、アンモニアなどの有害物質が血液の中に溜まり脳に運ばれ意識障害を起こします。これを「肝性脳症」と呼びます。



肝細胞がんの検査

血液検査
ALT(GPT) GOTは肝臓や心臓の筋肉、骨格筋、腎臓などに多く含まれる酵素です。肝細胞障害などで上昇します。
AST(GOT) GPTは肝臓に多く含まれる酵素で、この値が高いと血液の流れが鈍く、脂肪肝や肝炎になりやすいです。
ALP
(アルカリフォスファターゼ)
γ-GTPとともに胆道系酵素と呼ばれ、肝臓や胆道系の障害時、骨病変で上昇します。ALTとも略されます。
γ-GT(γ-GTP) 胆道系酵素と呼ばれ、胆汁うっ滞のときに上昇します。アルコール性の肝障害でも上昇する人が多いです。
LDH
(乳酸脱水素酵素
GOTやGPTと同様に肝臓や肺、筋肉、血球に含まれる酵素です。特に肝臓に多く含まれます。
ウイルスマーカー 原因ウイルスの特定診断を行います。
血清ビリルビン 胆汁に含まれる色素で、赤血球のヘモグロビンから生成されます。総ビリルビンが上昇すると黄疸が見られます。
 アルブミン 肝臓で作られるタンパク質の代表。肝硬変になると多くの場合、3.5g/dl以下に低下する。
血小板  止血の際に働く血球の代表。肝硬変になると10万/mm3以下に低下することが多い。
コリンエステラーゼ  肝臓で作られるタンパク質。肝硬変では低下する。
プロトロンビン時間  血液が固まる時間を表す。肝硬変では血液凝固因子が低下するためプロトロンビン時間が延長する。


精密検査
超音波(エコー)  様々な方法を利用して、視覚的診断をおこないます。
X線
CT(コンピュータ断層撮影)
MRI(磁気共鳴画像診断)
肝生検 肝臓の組織を採取し、がん細胞などの有無を調べます。


肝細胞がんの病期(ステージ)・障害度分類

 病期(ステージ)とは、がんの進行の程度を示す言葉です。病期には、ローマ数字が使われ、肝がんでは、I期、II期、III期、IV期(IVA、IVB)に分類されています。

1)病期(ステージ)分類
肝がんの病期は一般に、がんの大きさ、個数、がん細胞が肝臓内にとどまっているか、体のほかの部分まで広がっているかによって分類されます。

2)肝障害度分類、Child-Pugh分類
 治療法の選択に当たっては肝臓がどのくらい障害されているかを評価します。肝障害度分類は、肝機能の状態によって3段階に分けられます。ほかにChild-Pugh(チャイルド・ピュー)分類が用いられることもあります。どちらもAからCの順序で、肝障害の程度が強いことを表します。肝障害度分類では、下の表のそれぞれの項目別に重症度を求め、そのうち2項目以上が当てはまる肝障害度に分類されます。また、2項目以上に該当した肝障害度が2ヵ所以上にある場合は、高い方の肝障害度に分類されます。例えば、肝障害度Bの項目が3項目該当していても、Cが2項目あれば肝障害度Cになります。
肝障害度 A B C
腹水 ない 治療効果あり 治療効果少ない
血清ビリルビン値(mg/dL) 2.0未満 2.0~3.0 3.0超
血清アルブミン値(g/dL) 3.5超 3.0~3.5 3.0未満
ICGR15(%) 15未満 15~40 40超
プロトロンビン活性値(%) 80超 50~80 50未満


ポイント(Child-Pugh分類) 1点 2点 3点
脳症 ない 軽度 ときどき昏睡
腹水 ない 少量 中等量
血清ビリルビン値(mg/dL) 2.0未満 2.0~3.0 3.0超
血清アルブミン値(g/dL) 3.5超 2.8~3.5 2.8未満
プロトロンビン活性値(%) 70超 40~70 40未満


肝細胞がんの治療

 肝がんの治療は、手術治療、局所療法、肝動脈塞栓術の3つが中心になります。
 また、がんと慢性肝疾患を併発していますので、治療はがんの病期(ステージ)だけではなく、肝機能の状態なども加味した上で選択する必要があります。次に示すのは、肝がんの状態・肝障害度と治療選択の関係を大まかに表した図です。

1)手術治療(外科療法)

(1)肝切除
 がんとその周囲の肝臓の組織を手術によって取り除く治療です。肝切除をするかどうかは、がんの位置や大きさ、数、広がり、さらに肝機能の条件などによって決められます。一般に単発(1個)で比較的大きながんや、1個または少数のがんで、肝臓の機能が保たれている場合には、肝切除が選択されます。また、黄疸や腹水を認めるなど、肝機能が十分でない患者さんは、肝切除後に肝臓が機能しなくなる肝不全を起こす危険性があるため、手術の適応は限られます。肝臓は、中を走る血管(門脈)の分布によって8つの区画に分けられます。それぞれの区域には「番地」が振ってあります。「どこ」を「どのくらい」切除するかは、この区分が目安になります。

(2)肝移植
 肝臓を全て摘出して、ドナー(臓器提供者)からの肝臓を移植する治療法です。適応は転移がない場合に限られます。肝がんに対する肝移植は、a. がんが1つなら5cm以下、またはb. 3cm以下で3個以内、という基準(ミラノ基準)を満たす場合に考慮されます。日本では、脳死肝移植は法的には認められていますが、提供者の不足などの問題によって、実際にはほとんど行われていません。その代わり、主に近親者から肝臓の一部を提供してもらい、肝臓を移植する生体肝移植が大学病院を中心に行われています。肝移植の年齢制限は65歳以下とすることが多く、肝機能の面では肝硬変のために肝切除などの局所治療が困難な場合に、治療法のオプションとして考えられます。


2)局所療法(穿刺〔せんし〕療法)

 体の外から針を刺し、がんに対して局所的に治療を行う療法をひとまとめにして経皮的局所療法と呼びます。穿刺療法ともいわれ、手術に比べて体への負担の少ないことが特徴です。この治療は一般に、がんの大きさが3cmより小さく、3個以下が対象とされています。がんの一部が残ってしまう危険もありますが、比較的手軽に行うことができ、副作用が少なく、短期間で社会復帰できるという長所があります。超音波検査や造影超音波検査などにより、がんの状態を観察しながら行います。

(1)経皮的エタノール注入療法(PEIT)

 無水エタノール(純アルコール)を肝がんの部分に注射して、アルコールの化学作用によってがんを死滅させる治療法です。エタノール注入時には痛みがあります。通常は腹部の皮膚に局所麻酔が用いられます。術後に発熱、腹痛、肝機能障害などの合併症が起こることもあります。

(2)ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法(RFA)

 体の外から特殊な針をがんに直接刺し、通電してその針の先端部分に高熱を発生させることで、局所のがんを焼いて死滅させる治療法です。焼灼時間は10~20分程度で、腹部の皮膚の局所麻酔に加えて、焼灼で生じる痛みに対して鎮痛剤投与や軽い静脈麻酔を行います。発熱、腹痛、出血、腸管損傷、肝機能障害などの合併症が起こることもあります。ラジオ波焼灼療法は、エタノール注入療法に比べて、少ない治療回数で優れた治療効果が得られることから、最近ではラジオ波焼灼療法が主流となっています。


3)肝動脈塞栓(そくせん)術、肝動注化学療法

 肝動脈塞栓術(TAE)は、がんに栄養を運んでいる血管を人工的にふさいで、がんを“兵糧攻め”にする治療です。通常は、血管造影検査に引き続いて行われます。血管造影に用いたカテーテルの先端を肝動脈まで進め、塞栓物質(多孔性ゼラチン粒、PVA)を注入し、肝動脈を詰まらせます。その後、塞栓物質は自然に溶けて、血流は元通りに回復します。肝動注化学療法(TAI)は、抗がん剤と肝がんに取り込まれやすい造影剤を混ぜてカテーテルを通じて投与する治療です。治療効果を高めるためTAEと同時に行われることが多く、この場合特に「肝動脈化学塞栓療法」(TACE)と呼ばれます。TAEは、がんの個数に関係なく治療でき、ほかの治療と併用して行われることもあります。適応の幅が広いので、最近はたくさんの患者さんに対して行われています。


4)放射線治療

 放射線治療は、骨に転移したときなどの疼痛(とうつう)緩和や、脳への転移に対する治療、血管(門脈、静脈)に広がったがんに対する治療などを目的に行われることがあります。肝臓に放射線を当てると正常な肝細胞に悪影響を与えるので、肝がん自体の治療が行われる場合には、細心の注意が払われます。最近は、陽子線、重粒子線など、放射線を当てる範囲を絞り込める放射線治療が肝がんの治療に有効と考えられています。


5)抗がん剤治療(化学療法)

 肝がんの抗がん剤治療には、前述した「肝動注化学療法」と「全身化学療法」があります。抗がん剤治療は、手術治療や局所療法などの標準治療で効果が期待できない場合などに行われます。肝がんへの適応が認可されている抗がん剤も複数ありますが、治療効果についての評価はまだ定まっていません。


6)生活の質を重視した治療

 骨などへの転移があって痛みが強い、腹水がたまっておなかが張る、足のむくみが強い、肝機能が悪いために肝臓に負担をかける治療を行うことが難しい、などの場合には、がんそのものへの治療よりも、つらい症状の原因に応じて生活の質を維持することに重点を置いた治療が行われます。


肝細胞がんによる合併症に対する治療

 手術の場合、手術直後には、酸素マスクや手術の場所から出る血液や体液などを排出するドレーンという管、尿をためる尿道バルーンカテーテルという管が体に付けられています。痛みや手術の創の状態によって、体の動きが制限されることがありますが、体の状態が改善するに従って、徐々に管が外されていきます。局所療法や肝動脈塞栓療法では治療後、数時間から半日程度の安静が必要です。


1)手術の合併症

 出血、切除面から胆汁が漏れる胆汁漏(たんじゅうろう)、肝不全などがありますが、近年は手術方法の進歩によって出血量の少ない安全な手術が可能になっています。術後の肝不全も全国平均で約1%、手術による死亡率は全国平均で1~2%程度で、日本の手術の技術は世界でもトップレベルにあります。


2)手術に伴う主な合併症への対策

(1)体の痛み

 体の痛みには、手術創そのものだけではなく、おなかを切開したことによる皮膚の痛みや、手術のときに肋骨(ろっこつ)を持ち上げるため、筋肉が引っ張られたことで、肋骨の周りや肩、背中、腹部などの痛みやしびれなどがあります。通常、痛みは数ヵ月で治まってきます。

(2)対策

 創の痛みは我慢しないで担当医や看護師に伝えましょう。痛みの度合いや体の回復状況に応じて、痛みを和らげる処置が行われます。骨や筋肉は動作をすると痛むので、急に動くことは避け、手のひらで痛む部分を覆ってゆっくりと動くように心掛けましょう、「よいしょ、こらしょ」と、自分自身に声を掛けながらするとよいかもしれません。咳(せき)をするときも、傷口を手でそっと押さえると、傷口に響かなくてすみます。術後約1ヵ月は、ゆっくり過ごします。体に負担のかかることは避け、周りの人の手を借り、徐々に体を慣らしていきます。担当医と相談し、体が慣れてきたら積極的に体を動かすようにしましょう。


3)局所療法に伴う主な合併症への対策

局所療法は、体への負担は少ないのですが、ラジオ波焼灼療法では、針を刺した場所に痛みややけどが起こることがあります。経皮的エタノール注入療法では、アルコールを注入するために、アルコールに弱い体質の人は、酔う感覚になることがあります。こうした症状のほとんどは一時的で、少しずつ回復していきます。


4)肝動脈塞栓療法に伴う主な副作用への対策

 発熱、吐き気、腹痛、食欲不振、肝機能障害、胸痛などの副作用が起こることがあります。副作用の程度は、腫瘍の大きさ、広がり、塞栓した程度、肝機能によりますので、予想される副作用について、あらかじめ担当医から十分な説明を聞いておきましょう。


5)抗がん剤の副作用

 抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えます。髪の毛、口や消化管などの粘膜、骨髄など新陳代謝の盛んな細胞が影響を受けやすく、その結果、吐き気が起こったり、白血球や血小板の数が少なくなることがあります。それ以外に、肝臓や腎臓に障害が出ることもあります。肝がんで使用する抗がん剤は、脱毛、口内炎、下痢や、心臓への影響はあまり多くはありません。副作用が著しい場合は、治療薬の変更や治療の休止、中断などを検討することもあります。


6)薬物療法(抗がん剤治療)の主な副作用への対策

 肝硬変や腹水の有無、肝臓や腎臓の機能などによって副作用の起こり方は異なります。担当医や看護師に治療の内容や副作用について確認しておきましょう。


肝細胞がんの治療後の注意点

<生活上の注意>

 治療後の体調や肝臓の状態について、自覚症状や検査で確認しながら、徐々に活動範囲を広げていきます。

食事については栄養のバランスを第一に、気持ちよく食べることが大切です。飲酒は肝細胞がんの発生に関係があると考えられており、特に慢性肝疾患がある人は、肝機能を悪くすることがあるので避けることが重要です。また、肝硬変のために、むくみや腹水がある場合は、塩分を控えることが必要です。担当医や看護師、栄養士などによく確認しておきましょう。

運動は、体力の回復に合わせて散歩などから始め、少しずつ運動量をふやしていきます。ただし、激しい運動は担当医に相談してからにしましょう。体力が回復し、肝機能も安定すれば、徐々に通常の生活に戻れます。


<経過観察>

治療を行った後の体調確認のため、また再発の有無を確認するために、定期的に通院します。再発の危険度が高いほど、頻繁、かつ長期的に通院することになります。なお、喫煙や飲酒も肝がんの発生に関係があると考えられています。肝がんの治療を受けた人や肝炎ウイルス感染者はタバコをやめ、アルコールの摂取を控えましょう。

肝細胞がんの治療は、その背景にある慢性肝疾患を治すというものではありません。肝細胞がんの患者さんの多くは、慢性肝疾患のために肝細胞がんができやすくなっています。治療をしても、肝臓の別の場所にがんが再発することがしばしばあります。

このため、がんや背景の肝臓の状態に応じて、定期的に通院して検査を受ける必要があります。肝機能や腫瘍マーカーを調べるための血液検査に加え、必要に応じて、腹部超音波(エコー)や造影超音波、CTなどの画像検査が行われます。

なお、熱がなかなか下がらない、おなかが張って苦しい、息苦しい感じが続く、疲れやすい、足がむくむ、食欲がない、何となく足元がふらふらする、手指が震える、ぼうっとしたり眠りがちになる、などの症状が普段の状態と比べて強いとき、あるいは急にひどくなったときは、担当医に連絡して受診するようにしましょう。


<再発>

 再発とは、治療の効果により目に見える大きさのがんがなくなった後、再びがんが出現することをいいます。肝がんは、ほかのがんに比べて再発が多いので、3~6ヵ月に1回はチェックすることが一般的です。再発といってもそれぞれの患者さんでの状態は異なります。手術でがんを切除したり、局所療法で治療しても、残った肝臓に新しいがんができる危険も高く、再発部位の90%以上が同じ臓器内です。これを残肝再発(ざんかんさいはつ)といいます。それぞれの患者さんの状況や肝障害度に応じて治療やその後のケアを決めていきますが、肝機能が良好な場合は、手術が考慮されます。肝がんの治療は、その背景である肝炎や肝硬変を治すものではありません。


<転移>


転移とは、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って別の臓器に移動し、そこで成長したものをいいます。がんを手術で全部切除できたり、局所療法で治療できたようにみえても、その時点ですでにがん細胞が別の臓器に移動している可能性があり、治療した時点では見つけられなくても、時間がたってから転移として見つかることがあります。肝がんでは肺やリンパ節、骨など、別の臓器に転移することも少なくありません。転移が生じている場合には、肝臓の状態を含めて治療方法も総合的に判断する必要があります。


肝細胞がんによい漢方薬

漢方薬は肝臓病の原因や種類で使い分ける事はありません。症状や体質を重視し処方を選ぶ事が基本と成ります。肝臓病の初期から中期にかけては柴胡剤という分類の漢方薬の一群がとても有効です。

初期から中期にかけて使用します
大柴胡湯
(だいさいことう)
比較的、体力のある方に処方されます。(脂肪肝に使用します)
小柴胡湯
(しょうさいことう)
体力が中程度の方に処方されます。(脂肪肝に使用します)
柴胡桂枝湯
(さいこけいしとう)
体力が中程度の方に処方されます。
補中益気湯
(ほちゅうえっきとう)
体力がない方や高齢者
茵陳五苓散
(いんちんごれいさん)
黄疸やむくみなどがある
茵陳高湯
(いんちんこうとう)
黄疸やむくみなどがある
   
肝炎の末期や肝硬変の方に使用します
柴芍六君子湯
(さいしゃくりっくんしとう)
体力も補う目的                                      
十全大補湯
(じゅうぜんだいほとう)
体力も補う目的                                       


肝細胞がんによいサプリメント

漢方薬以外の民間薬や健康食品にも、肝臓病に良いものが多くあります。ウコンは香辛料としても使いますが、肝臓の治療補助としてもすぐれています。田七人参(でんしちにんじん)も肝臓病にはとても良い事が多く、又体力も補えるので体質にあまり関係なくおすすめできます。どちらも安全性が高く比較的安価なものなので、気軽に試してみると良いと思います。
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