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循環器の病気:動脈硬化とは何か、改善するには?

循環器の病気:動脈硬化とは何か、改善するには?

 体のすみずみまで酸素や栄養素を運ぶ重要な役割を果たしているのが動脈です。この動脈が年齢とともに老化し、弾力性が失われて硬くなったり、動脈内にさまざまな物質が沈着して血管が狭くなり、血液の流れが滞る状態を動脈硬化といいます。
 動脈硬化は、以下の3種類に分類されます。
 ①粥状(じゅくじょう)硬化
 ②細動脈(さいどうみゃく)硬化
 ③中膜(ちゅうまく)硬化

 動脈は内膜、中膜、外膜の三層からなっていますが、①粥状(じゅくじょう)硬化は太い、または中等度の太さの動脈の内膜に、③中膜(ちゅうまく)硬化は中膜に主に変化が起きます。一方、②細動脈(さいどうみゃく)硬化は末梢の細い動脈が硬化するものです。この中で臨床的に大きな問題になるのは①粥状(じゅくじょう)硬化、②細動脈(さいどうみゃく)硬化です。

動脈硬化の原因

 動脈硬化の原因には、老化の影響によるものもありますが、暴飲暴食や動物性食品の過多、食物繊維の不足、そして最近話題となっている活性酸素の影響などもあります。





動脈硬化の症状

 動脈硬化は動脈硬化原因とはっきりわかる自覚症状がないため、症状だけで動脈硬化を早期発見することは難しく、症状が出た時にはすでに遅しと言っても過言ではありません。
 動脈硬化による起こる疾患は、心臓病や脳血管障害、閉塞性動脈硬化症など重大な病気あります。定期的に病院での検査(健康診断)を行なうことや自宅など定期的に体重を測り、血圧を測るなどして、動脈硬化を早期発見しましょう。


動脈硬化の診断

 動脈硬化の診断に「CAVI(キャビィ)検査」があります。
この検査では、あお向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を測定します。時間は5分程度で、血圧測定と同じ感覚でできる簡単な検査です。結果もすぐに出ますので、その場で医師からの診断が受けられます。

この検査では、3つの項目を使用します。

①動脈のかたさ
 動脈のかたさを表すのが「CAVI」です。動脈は血液を全身に送るポンプの役目を果たしていますが、ポンプの内側の圧力(血圧)が変化したときのふくらみ具合をみることによって、ポンプのしなやかさ、つまり動脈のかたさがわかるというものです。動脈硬化症が進んでいるほど、「CAVI」の値は高くなり、9.0を超えると約半数が脳動脈か心臓の動脈である冠動脈に動脈硬化症を発症しているという研究結果もあります。

柔らかでしなやかな血管血圧が上がると大きくふくらむ

動脈硬化症を起こした血管血圧が上がってもふくらみは小さい


②動脈の詰まり(足の痛み)
 足の動脈の詰まりを表すのが「ABI(エービーアイ)」。足首の血圧を横になった状態で測定します。

正常    :腕の血圧と同じくらい、あるいは少し高い値となります。
動脈硬化:しかし足の動脈が詰まっていると、腕の血圧に比べて足首の血圧は低くなります。

 そのため「腕の血圧」と「足首の血圧」の比をみて足の動脈の詰まりを診断するというもので、その値が0.9未満であると詰まっている可能性が高く、その値が低いほど重症になります。
 また、その症状は「足の痛み」としてあらわれることが多いといわれています。

③血管年齢
  同じ性別、同年齢の健康な方の「CAVI」平均値と比べることで、「血管年齢」がわかります。「CAVI」が9.0未満であっても「血管年齢」の高い方は動脈硬化症の進行が早いと考えられます。


*その他の動脈硬化症の検査

血圧測定、血液検査

動脈硬化症は生活習慣病が大きな要因です。
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの危険因子がないかを検査します。


超音波検査

簡便かつ視覚的に血管の状態を捉えることができる検査です。
脳梗塞の予測検査として有用とされています。
超音波検査(頚動脈エコー検査)の詳細はこちら

※ほかにもMRI、X線CT、血管造影などの画像診断があります。


動脈硬化の治療

 動脈硬化の治療は、食生活・運動・喫煙などの生活習慣の改善が基本となります。
また、動脈硬化の原因(危険因子)である病気(高血圧・高脂血症(脂質異常症)・糖尿病・肥満・痛風など)がある場合はその病気の治療が優先となります。
動脈硬化が進行しずぎてしまった場合は手術(外科療法)を行う場合もあります。

食事療法~食生活の改善~

①塩分
 塩分を取りすぎると、高血圧になってしまいます。高血圧は動脈硬化の発生・悪化に大きく関わっているので、塩分制限はとても重要です。塩分摂取量は 6g未満にしていくことになります。

②動物性脂肪
 肉の油やバターなどに含まれている動物性脂肪を取り過ぎると、動物性脂肪に多く含まれている「飽和脂肪酸(ほうわ しぼうさん)」の働きにより、血中コレステロールが増加してしまいます。
 血中コレステロールが増加すると、「高脂血症(こうしけっしょう)」になる可能性が高くなってしまいます。高脂血症は動脈硬化を発生・進行させるので、動物性の脂肪を取りすぎないようにすることが大切です。

③食物繊維の摂取
 食物繊維はコレステロールの吸収をおさえます。食物繊維は体の中に入ると、腸の中でコレステロール、中性脂肪、糖質などの吸収をさまたげ、胆汁酸を吸収して体の外へ排出します。
 すると、体の中では減った分の胆汁酸を新たに作りますが、そのときに血液の中のコレステロールを使います。そのために、血中コレステロールが減るのです。

血中コレステロールが多いと高脂血症になり、動脈硬化が進んでしまいますので、コレステロール値が高い人は食物繊維をしっかりと取るようにしましょう。

食物繊維を取る量は、1日に 20gを取るようにすることが目標です。


動脈硬化の合併症について

 心臓への影響
 高血圧は「姿なき暗殺者」と述べましたが、その恐怖の元凶ともいえる、高血圧による合併症について説明していきます。高血圧による一番ダメージを受ける場所、それは循環器である心臓とその血液を送り出す血管です。血圧とは血管にかかる圧力を示しますが、血管への圧力が高いという事は、その圧力以上の力をもってしなければ全身へ血液を届ける事ができないということになります。血液を全身に送り出している唯一の臓器心臓です。心臓はその圧力に逆らって大きな力で血液を長い間送り出す事で、筋肉が発達し心室の壁が厚くなり、心肥大という状態になります。心肥大は高血圧における適応現象ではありますが、その圧力が強くなりすぎれば、その圧力に対応できなくなり、予備力の不足による心不全が起きます。

脳血管への影響
 脳動脈には、脳卒中動脈と呼ばれる圧力に非常に弱い場所が存在します。高血圧によりその部分に対して負担がかかり、やがて動脈瘤となり破裂し、脳出血となります。また、大動脈瘤も、多くの場合高血圧がかかわっています。

血管(動脈硬化)への影響
 高血圧は、血管へも影響を与えいます。高血圧により血管への負担が長く続けば、それに耐え切れる血管が必要となります。人間の体には適応性が存在しているため、血管の壁は圧がかかる場所が特に厚くなり、コレステロールなどが蓄積しやすい状態になります。血管が厚くなったところに、さらにコレステロールの蓄積により、血管の内径が細くなり、血液の流れを抑制します。抑制するという事はさらに血圧は高まり、さらに血管壁の膨張を促進します。その繰り返しにより、細くなり、さらに、その圧力により、血管壁に積もった老廃物がはがれ、その老廃物により細くなった血管に栓がされてしまいます。栓をされてしまえば、その先への血液は届かなくなり、やがて壊死を起こします。それが、心筋梗塞や脳梗塞です。


~動脈硬化の予防~
1、適度な運動をして標準体重を維持(目指す)しましょう
2、塩分の取りすぎ、暴飲暴食に注意しましょう
3、ストレスや急激な温度差に注意しましょう。


動脈硬化によい漢方薬

動脈硬化、虚血性心疾患、心不全などに使用します。
柴胡加竜骨牡蛎湯
(さいこかりゅうこつぼれいとう)
高血圧や動脈硬化、精神面がかかわる疾患全般に効果があります。また、性的機能の低下などにも用います。
釣藤散
(ちょうとうさん)
頭痛、めまい、眼の充血、耳鳴り、肩こり、のぼせ、不眠など、高血圧や動脈硬化に伴う諸症状に適用します。起床時から午前中にかけての頭痛に効果があります。
黄連解毒湯
(おうれんげどくとう)
生理不順や生理痛、頭痛、のどの痛み、肩こり、のぼせ、足の冷えなどに適応します。また、不妊の治療にも用います。
九味檳榔湯
(くみびんろうとう)
生理不順や生理痛、頭痛、のどの痛み、肩こり、のぼせ、足の冷えなどに適応します。また、不妊の治療にも用います。
防風通聖散
(ぼうふうつうしょうさん)
動悸、肩こり、のぼせなどの症状、他に便秘、尿量減少、肥満、むくみなどの解消に用います。最近では、痛風の治療に用いられることが多くなっています。
大柴胡湯
(だいさいことう)
肝臓や胆のうの病気、胃腸の病気、便秘や痔、頭痛、肩こり、痛風、のどの痛み、めまい、耳鳴りなどに適応します。肥満の解消にもよいとされます。
大柴胡湯去大黄
(だいさいことうきょだいおう)
頭部外傷や高血圧及び脳梗塞や小児麻痺によって起こる半身不随、顔面の引きつり、言語障害、脳軟化症の強壮と補助療法に効果があると言われています。
三黄瀉心湯
(さんおうしゃしんとう) 
のぼせや火照り、鼻血などの出血、イライラ感や不安感、不眠、便秘に効果がある他、高血圧にともなう頭重感や肩こりなどに適しています。
桃核承気湯
(とうかくじょうきとう) 
 体格・体力の充実した人で、頭痛、のぼせ、便秘などの症状がみられる場合の月経異常、月経痛、月経時の精神不安、産後の精神不安、腰痛、常習便秘、痔、高血圧の随伴症状などに用いられます。
当帰芍薬散
(とうきしゃくやくさん) 
 比較的体力の低下した人で、冷え症、疲れやすい、貧血、頭痛、めまい、肩こり、動悸、耳鳴りなどの症状がみられる場合の月経不順、月経困難、不妊症、慢性腎炎、血圧異常、更年期障害、産前産後または流産後の障害、腰痛、つわり、痔、足腰の冷え、むくみ、しみ、にきびなどに用いられます。
八味地黄丸
(はちみじおうがん) 
 主に中高年以降の人で、疲れやすい、手足の冷え、腰痛、ほてり、尿量減少、ときに口の渇きなどの症状がみられる場合の腰痛、前立腺肥大、勃起障害、高血圧、腎炎、糖尿病、坐骨神経痛、高齢者のかすみ目、かゆみ、むくみ、排尿困難、頻尿などに用いられます。


動脈硬化によいサプリメント

動脈硬化、虚血性心疾患、心不全などに使用します。
霊芝 抗癌作用、免疫賦活作用、血小板抗凝固作用などが報告されている。
紅参 糖尿病、動脈硬化、滋養強壮に効能があり、古くから服用されてきた。血圧を高める効能があるため、高血圧の人は控えるべきだと言われてきた。しかし、血圧の高い人が飲むと下がるという報告もあり、実際は体に合わせて調整作用があるともいわれている。また、自律神経の乱れを整える作用もある。
コンドロイチン 脳においては、神経線維の再生を阻害する因子のひとつとして知られるほか、神経細胞の回りを取り巻く構造であるperineuronal netの主要成分として脳機能の可塑性に関与するとされる。やや特殊な機能をするコンドロイチン硫酸としては、マスト細胞やナチュラルキラー細胞の細胞内顆粒に存在するものなどもある。
DHA DHAの摂取は血中の中性脂肪(トリグリセライド)量を減少させ、心臓病の危険を低減する。
イソフラボン 血液中のコレステロール、特に「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールの増加が動脈硬化を促します。一方、「善玉」と呼ばれるHDLコレステロールは悪玉を減らす作用があるのですが、イソフラボンは悪玉を減らすうえに善玉を増やすという理想的な実験結果を出しています。
田七人参 止血作用と活血(血液循環の改善)作用という、一見相反する性質を併せ持つ。 また、抗ウイルス作用、抗コレステロール作用、抗腫瘍作用があるとされるため、虚血性心疾患や肝炎の初期治療薬として有望視される。
黒酢 お酢に含まれる物質がACEという酵素の働きを阻害し、血圧の上昇を抑えることが知られています。
お酢のなかでも黒酢(玄米酢)が最も高血圧抑制効果が高いことがわかりました。お酢の血液サラサラ効果と黒酢に豊富なアミノ酸効果がプラスされ、黒酢の血流改善効果は強力です。
乳酸菌 特に「L-92乳酸菌」は免疫のバランスを整えることが期待できる菌として知られています。
エラスチン エラスチン含有量は、項靱帯で約78~80%、動脈で約50%、肺で約20%、真皮で約2~5%を占める。ヒトだけでなく、ブタやウシ、ウマなどの哺乳類やその他では魚類などにも含まれている。エラスチンは皮膚や血管では年齢と共に減少し皺の原因となる。

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