血液型抗原は通常優性形質として遺伝し、家畜の血液型ではいくつかの血液型抗原が一つの遺伝子によって支配されている。たとえば、ウシの赤血球抗原のうちB、G、Kの三つの抗原は同一遺伝子によって支配され、単独で検出される場合もあるが、多くはBGKとしていっしょに検出される。このような複合抗原をフェノグループphenogroupまたは単に抗原とよび、同一の遺伝子座に属する対立遺伝子によって決定される血液型はシステムsystemとよばれる。血液型遺伝子の記号は、遺伝子座すなわちシステムを表す記号の右肩にフェノグループを記すのが一般的である。ウシのBGK因子はBシステムに属する遺伝子によって決定されるのでBBGKと書く。
家畜の血液型は大部分のシステムが複対立遺伝子よりなっているのみならず、遺伝子数が非常に多く、もっとも極端な例はウシのBシステムで、現在までに300以上の遺伝子が知られている。またヒツジのRおよびブタのAシステムのように、Rに対してRとI、Aに対してAとSの二つの遺伝子座の相互作用によって生ずる血液型もある。
血液型は通常、同種免疫によって検出されるが、ニワトリのHiおよびThシステムのように、前者はマメ科植物の種子に含まれる凝集素、後者は培養動物細胞をトリプシンで処理して得られた凝集素によって分類されたものもある。
血液型をもっともよく利用するものの一つに親子鑑別がある。家畜では人工授精する場合が多く、誤って別の精液を授精したり、連続した2発情時において別々の雄の精液を授精した場合に、親と子の血液型を調べることによって、高い確率で判定することができる。
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