急性肝炎・劇症肝炎の症状
急性肝炎では肝細胞が広範に壊れるため、GOT、GPTなどの肝機能検査の値が急激に上昇しますが、ほとんど自覚症状がなく、黄疸がでて初めて急性肝炎に気づく場合がほとんどです。(黄疸とは、肝臓においてビリルビンを胆汁として排泄する機能が障害され、血液中のビリルビンの濃度が上がるために、皮膚や白目の部分が黄色く見える症状です。)
急性肝炎の主な症状は以下の通りです。
急性肝炎の症状の経過 |
潜伏期 |
何も症状はみられません |
前駆期 |
黄疸が出現する前の段階であり、全身倦怠感、発熱、頭痛、関節痛、悪心、食欲不振、右脇腹痛などの風邪のような症状が現れます。色の濃い褐色尿が出ます。 |
黄疸期 |
前駆期症状が軽快してきて、黄疸が見られるようになります。 |
回復期 |
ほとんど自覚症状は現れなくなります。 |
急性肝炎の共通的な症状は上記のようなものですが、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎それぞれの症状や特徴を更に詳しく示すと下記のようになります。
急性肝炎の症状 |
急性A型肝炎 |
A型肝炎ウイルスに経口感染すると、15~50日の潜伏期間後に、前駆症状として食欲不振、全身倦怠感、吐きけ、嘔吐、胃部不快感で発症します。
その後39度C前後の発熱があり、5~6日目に黄疸や濃い褐色尿が出現します。黄疸出現時には、本人の自覚症状は比較的軽快しています。
急性A型可燃は、腎機能障害を合併し腎不全を起こしたり、劇症肝炎になることもなしとはしませんが、通常は発病後数か月で自然治癒し、慢性化はしません。
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急性B型肝炎 |
B型肝炎ウイルスに感染すると、60~90日の潜伏期間後に、突然の発熱、全身倦怠感、関節痛、発疹などの風邪様症状が出現します。食欲不振、吐きけ、嘔吐、腹痛などの消化器症状や黄疸や色の濃い褐色尿が出現します。
急性B型肝炎は、一過性の感染であり劇症肝炎とならない限りは完全に治癒しますが、持続感染として慢性肝炎に移行し、肝硬変、肝臓がんへと進行することもあります。
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急性C型肝炎 |
C型肝炎ウイルスに感染すると、14~半年の潜伏期間後に、風邪様の症状が出現します。消化器症状、黄疸などを訴える症例は約半数ほどといわれ、A型、B型に比べると自覚症状は比較的軽いです。
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*場合によっては重症化したり、急激に大量の肝細胞が破壊される劇症肝炎にとなり、生命が脅かされることもありますので入院治療が原則となります。 また、症状事態が軽い場合は、黄疸がでず症状を悪化させてしまう原因となりますので注意が必要です。
急性肝炎・劇症肝炎の検査
急性肝炎の共通的な検査としての肝機能検査では、肝細胞の破壊にともなって、血液中濃度が上昇することになる、酵素AST(GOT)やALT(GPT)などの血中濃度や尿検査さらに特定診断として精密検査などが行われます。また、問診により意識障害がないかなどの診断が、重症度、劇症肝炎の有無を判断する上で重要となります。
血液検査 |
ALT(GPT) |
GOTは肝臓や心臓の筋肉、骨格筋、腎臓などに多く含まれる酵素です。肝細胞障害などで上昇します。 |
AST(GOT) |
GPTは肝臓に多く含まれる酵素で、この値が高いと血液の流れが鈍く、脂肪肝や肝炎になりやすいです。 |
ALP
(アルカリフォスファターゼ) |
γ-GTPとともに胆道系酵素と呼ばれ、肝臓や胆道系の障害時、骨病変で上昇します。ALTとも略されます。 |
γ-GT(γ-GTP) |
胆道系酵素と呼ばれ、胆汁うっ滞のときに上昇します。アルコール性の肝障害でも上昇する人が多いです。 |
LDH
(乳酸脱水素酵素) |
GOTやGPTと同様に肝臓や肺、筋肉、血球に含まれる酵素です。特に肝臓に多く含まれます。 |
ウイルスマーカー |
原因ウイルスの特定診断を行います。 |
血清ビリルビン |
胆汁に含まれる色素で、赤血球のヘモグロビンから生成されます。総ビリルビンが上昇すると黄疸が見られます。 |
尿検査 |
尿中ビリルビン |
黄疸(おうだん)の程度が分かる |
ウロビリノーゲン |
黄疸(おうだん)の程度が分かる |
尿糖 |
慢性肝炎、肝硬変を調べる |
精密検査 |
超音波(エコー) |
様々な方法を利用して、視覚的診断をおこないます。 |
X線 |
CT(コンピュータ断層撮影) |
MRI(磁気共鳴画像診断) |
肝生検 |
肝臓の組織を採取し、がん細胞などの有無を調べます。 |
急性肝炎・劇症肝炎の治療
急性肝炎はC型肝炎をのぞいて、一過性に経過して、自然治癒しやすいのが特徴です。急性肝炎の治療において一番大切な事は、肝炎の最大期を過ぎたかを見極めることにあります。重症化、劇症化の移行の可能性を常に留意しながら注意深く観察し対処することが必要となります。
(安静)
黄疸例は、入院、安静が原則となります。臥床安静により肝血流の増加を促し、肝障害の治癒を促します。プロトロンビン時間、へパプラスチン時間の上昇、ビリルビン値の低下、自覚症状の改善が確認できれば、急性肝炎の極期が過ぎたと判断し、安静度を軽減する。
(食事療法)
急性肝炎の極期には食欲がなく、またこの状態での蛋白摂取は肝臓に負担を与えるため低蛋白食とし、1日60g以下の蛋白制限をおこないます。糖類を主体にカロリー補給し、1日1800kcal前後をあたえます。
ウイルス性肝炎の種類により、治療法は異なる場合があります。
詳しくは ウイルス性肝炎 をご覧下さい。
急性肝炎・劇症肝炎の治療期間と予後
急性肝炎の生命予後は、重症化、劇症化しなければ極めて良好で、A型、B型肝炎は終生免疫が成立し再感染することはありません、C型肝炎では急性期を経過した後は、遷延化、慢性化に対する対策が必要となります。
急性肝炎・劇症肝炎の予防
肝炎ウイルスに対する対策としては、ワクチンの予防接種が一番の予防方法となります。その他、アルコールなどの食事性肝炎が原因である場合はそれらの摂取制限などの処置が重要となります。
急性肝炎・劇症肝炎によい漢方薬 漢方薬は肝臓病の原因や種類で使い分ける事はありません。症状や体質を重視し処方を選ぶ事が基本と成ります。肝臓病の初期から中期にかけては柴胡剤という分類の漢方薬の一群がとても有効です。
初期から中期にかけて使用します |
大柴胡湯
(だいさいことう) |
比較的、体力のある方に処方されます。 |
小柴胡湯
(しょうさいことう) |
体力が中程度の方に処方されます。 |
柴胡桂枝湯
(さいこけいしとう) |
体力が中程度の方に処方されます。 |
補中益気湯
(ほちゅうえっきとう) |
体力がない方や高齢者 |
茵陳五苓散
(いんちんごれいさん) |
黄疸やむくみなどがある |
茵陳高湯
(いんちんこうとう) |
黄疸やむくみなどがある |
肝炎の末期や肝硬変の方に使用します |
柴芍六君子湯
(さいしゃくりっくんしとう) |
体力も補う目的 |
十全大補湯
(じゅうぜんだいほとう) |
体力も補う目的 |
漢方薬以外の民間薬や健康食品にも、肝臓病に良いものが多くあります。うこんは香辛料としても使いますが、肝臓の治療補助としてもすぐれています。田七人参(でんしちにんじん)も肝臓病にはとても良い事が多く、又体力も補えるので体質にあまり関係なくおすすめできます。どちらも安全性が高く比較的安価なものなので、気軽に試してみると良いと思います。その他の健康食品にも使えるものは多いので、これも専門の知識のある薬局などに問い合わせてみることをおすすめします。
急性肝炎・劇症肝炎によいサプリメント漢方薬以外の民間薬や健康食品にも、肝臓病に良いものが多くあります。ウコンは香辛料としても使いますが、肝臓の治療補助としてもすぐれています。田七人参(でんしちにんじん)も肝臓病にはとても良い事が多く、又体力も補えるので体質にあまり関係なくおすすめできます。どちらも安全性が高く比較的安価なものなので、気軽に試してみると良いと思います。
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