大腸の検査|血液検査
大腸ガンの腫瘍マーカーは以下のものがあります。
CEA:
消化管の悪性腫瘍を中心に、もっとも汎用的に用いられる血中腫瘍マーカー。
CA
19-9:
膵癌、胆道癌をはじめとする各種消化器癌で上昇する血中腫瘍マーカー。
などが代表的です。これらは原則的に進行ガンでしか陽性になりません。早期ガンや前ガン病変(大腸ポリープ)の発見では使用できません。また費用が高く、スクリーニング検査には使えないのが現状です。ちなみに、胃がんのスクリーニングに使われる「ペプシノーゲン法」は胃がんではなくて「胃がんになりやすい状態(慢性胃炎)」を検出します。したがって早期ガンを発見することが可能となります。
大腸の検査|遺伝子診断
大腸ポリープが良性かガンかの診断は病理検査(顕微鏡で細胞を観察して形態で判断する)でおこないます。しかし、病理検査では良性か悪性、転移するガンか、転移しないガンかまではわかりません。 病理診断のかわりに遺伝子解析により客観的なデジタル診断をおこなうというのが遺伝子診断です(現時点ではまだ実験段階で一般臨床でつかわれるのはもう少しあとです) 大腸ポリープ、ガンの発生にはAPC、RAS、P53の3つの遺伝子が関係しています。特に最後のP53遺伝子の変化が「良性が悪性に変わる」変化を意味します。そしてさらにDCCという遺伝子が変化すると転移しやすくなります。大腸ではこのP53やDCCなどが遺伝子診断に使われる可能性が高いです
大腸の検査|便潜血検査
大腸がん検診として公費の補助によりおこなわれているのが便潜血検査です。
専用の容器に便を少しつけて提出すると便の中に血液が混ざっていないかどうかを調べます。当然のことながら出血している病気しかわからない。つまりある程度大きくなった病変でないと陽性にならない。早期癌、特に平坦な癌
は出血しないことが多く見逃されやすい。痔でも陽性になってしまう。治療の必要のない痔の患者さんはかなりの頻度でいますので、不必要な癌の心配、不必要な検査がおこなわれることになる
大腸の検査|バリウム造影(レントゲン)検査
食事制限と下剤により腸の中を空っぽにしておしりからバリウムをいれます。腸に病気があるとそこだけバリウムがはじかれてぬけます(陰影欠損)。下剤を飲んで大腸の中を空っぽにしておしりからバリウムを注入してから空気をいれてレントゲンを撮影します。 平坦型病変はまず発見できません。大腸ガンはS字結腸に好発しますが、S字結腸は腸管の重なりが多く注腸では発見が難しい現状があります。特にけいしつを合併していると進行ガンでも見落とされるケースがあります。そのためこの検査だけではなく、内視鏡検査などをあわせて行うこととされています。
大腸の検査|内視鏡検査
大腸癌が増えてきたのが比較的最近のことであるため大腸内視鏡において経験の多い医師がまだ多くありません。結論を言いますと、大腸内視鏡は大腸内視鏡の専門医に受けられることをお勧めします。大体1万件以上の大腸内視鏡の経験を積んだ専門医がおこなえば大腸内視鏡は全く苦しくありません。 また、検査方法も変化し、大腸内視鏡はループをつくり内視鏡を押し込むようにして入れていました。これが、「大腸内視鏡は苦しい」と言われるようになった原因です。現在では、異なり
内視鏡をループさせずに直線的に挿入するのが「軸保持短縮法」と呼ばれている方法です。苦痛を感じず、事故の危険の全くないものです。経験の豊富な専門医(名人クラス)は「軸保持短縮法」で検査をおこなっています。
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