潰瘍性大腸炎の病態
潰瘍性大腸炎は、大腸に潰瘍やびらんができる原因不明の疾患。クローン病とともに炎症性腸疾患に分類される。若年成人に好発し、罹患数は増加傾向にある。最近は高齢発症も珍しくない。
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潰瘍性大腸炎の症状 潰瘍性大腸炎は、粘血便、下痢、腹痛、発熱などがある。若年者でこれらの症状をみた際には潰瘍性大腸炎を疑って精査する必要がある。合併症として腸閉塞、腸管穿孔をおこして緊急手術が必要となる場合がある。
また、潰瘍が深度にある固有筋層に及び、広い範囲の腸管神経叢が露出すると腸管の収縮機能が失われ、大腸の拡張をみるようになる。この状態が中毒性巨大結腸症であり、穿孔の危険もあるため腸管摘出が必要となる。また、大腸癌の合併頻度が高い。この大腸癌は未分化で浸潤性が強く、悪性度の高いことが多い。
潰瘍性大腸炎の合併症
潰瘍性大腸炎は、大腸以外にも関節や皮膚、眼などに合併症が生じることが知られている。これは免疫異常が関係していると考えられている
- 強直性脊椎炎
- 結節性紅斑
- 壊死性膿皮症
- ブドウ膜炎
- 虹彩炎
- 原発性硬化性胆管炎
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潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎は、原因は完全には解明されていないが、免疫抗体の異常が原因とされている。
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潰瘍性大腸炎の治療
潰瘍性大腸炎の薬物療法
潰瘍性大腸炎は、重症度に応じて、SASP、5-ASA、ステロイド剤、免疫抑制剤などを選択する。
潰瘍性大腸炎の白血球除去療法
潰瘍性大腸炎は、リンパ球除去療法 (LCAP)、顆粒球除去療法(GCAP)など。患者の体外に血液を循環させて装置を通し、炎症を起こす免疫細胞(好中球など)を血中から取り除いた後に体内に返す。薬物療法のみでコントロールできない患者に対して行われる。患部が比較的広い場合には効果が期待できるが、患部が直腸のみなど狭い場合には効果はあまり期待できない。
潰瘍性大腸炎の手術療法
潰瘍性大腸炎は、手術の絶対適応として、劇症、中毒性巨大結腸症、穿孔、大出血、癌化などがある。特に癌化をのぞく4つは緊急手術の適応となる。 また、活動性が比較的低くとも、炎症が持続している病変部は将来癌化する恐れが大きいので、予防的に切除することもある。 |
潰瘍性大腸炎の食事療法
①活動期において経口栄養補給が困難な場合は、中心静脈栄養や経腸栄養とすることで、腸管の安静をはかる。
②栄養状態の不良を補正し、潰瘍の治癒を促します。
③低たんぱく質血症、低栄養状態を改善する
④症状軽快後は、脂質の制限を行い、高エネルギー、高たんぱく質・高ビタミン食とし、低残渣食とします。
⑤腸管に負担のかかるものや、刺激のあるものは禁忌です。軽快後は消化吸収しやすいものを中心として、少しずつ一般食へと移行していきます。
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